第9話「おっかない!カンザブロー先生」(1977年2月7日)

レギュラーとなる森本先生の登場編である。同時に高牧先生の退場編でもあるのだが、その扱いは非常に淋しいというか、かなり唐突な印象を受ける。

物語はユタカ(福田信義)が登校前に給食の献立表を見て、苦手なトマトがあることで憂鬱になる場面からスタート。

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「トマト」だけ色が塗ってあり、日付に赤い✕の字。よほど嫌いなのだろう。

個人的には17日の「肉まん、あんまん、牛乳、ぶた汁、くだもの」という無茶苦茶な献立が非常に気になる(笑)
そう言えばこの時代はまだ給食にご飯(米の飯)が出なかったんだよね。

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そしてお父さん(奥村公延)との会話から、ユタカのクラスの担任が産休になり、新しい先生が転任してくることが語られる。ちなみにここで「産休」と「Thank you」をかけたベタなギャグが挿入される^^;

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場面変わってユタカのクラス。
本話からレギュラーとなる森本三郎先生(園田裕久)の登場である。
高牧先生と比べて、生徒にも積極的に関わっていくキャラクターで、本作の作風にも変化が見られるようになる。

厳しいながらも一貫して生徒思いの教師であり、ユーモラスな一面もあるという、なかなか難しい役柄であるが、園田氏はそれに十二分に応えるだけの演技力を持った役者さんであると言えるだろう。

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この森本先生、かなり喜怒哀楽というか表情豊かな先生である。
前の担任の近藤先生の方が良かったと、ユタカを中心に「先生じゃないもん」コールの大合唱が始まったら「うるさい!」と一喝し、「先生に向かって何だお前たちは!」と説教モード。これが高牧先生であれば生徒に騒がれてオロオロするのであろうが、森本先生は怒る時はしっかり怒るのである。

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「1年1組の先生は、森本三郎だ!わかったか!」とユタカの頭を軽く押さえつけたところでサブタイトル。

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「わかった者は、手を挙げろ」
と言ってみんなが手を挙げるとニコニコした顔になり、

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「よっしゃ!一時間目は校庭に出てみんなと一緒に遊ぼう!」と言うとクラス中が大喜び。
このあたり、さすがにベテランの教師だけあって生徒の心を掴むのが抜群に上手い。

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校庭で生徒たちとドッジボールをする森本先生。
ユタカにボールをぶつけられてこんなお茶目な顔もする。とにかく表情豊かなのだ。

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場面変わって5年3組。
掃除の時間に魔法組たちが森本先生のことを話題にしている。

ガンモ「森本先生か、面白そうな先生じゃねえか」
ミコ「でも、すぐに怒る先生、私は嫌いだわ」
チクワ「ネチネチ説教されるより、さっぱりしてていいよ」
ガンモ「そうだよ、男らしいよ!」

そこへショースケ(神アコ)が教室に入ってくる

ショースケ「ねえみんな、早速あだ名が付いたそうよ」
ガンモ「何て?」
ショースケ「カンザブロー」
ガンモ「あ~、名前が三郎だから」
ハテナマン「けど、カンザブローって言うのは?」
ショースケ「カラスのカンザブローだって」
ハテナマン「カラス?!はてな、どうしてカラスなんだろうなあ」
ショースケ「いま怒ったカラスが、もう笑っただって」
ミコ「あら、それは今泣いたカラスがって言うんでしょ」
チクワ「そうだよねえ、確か」
ガンモ「一年生だから知らないんだよ」
ハテナマン「いま怒ったカラスが、もう笑った。それでカンザブローか。なるほど、うまいあだ名を付けたもんだ!」

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放課後。下校しようとした魔法組の面々。
そこにユタカのクラスの生徒がやってきて「カンザブローがね、ユタカ君をお地蔵さんにしちゃったの」とショースケに告げる。
状況が全く掴めないが、ガンモ(すのうち滋之)の「行ってみようぜ」の一声で、とりあえずユタカのクラスに行ってみる魔法組。

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そこにいたのはお地蔵さん・・・

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ではなく、トマトとトマトジュースを持って立たされていたユタカであった。
トマトが嫌いなユタカは、給食のトマトとトマトジュースを持たされた状態で立たされていたのだ。

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ユタカを助けようと考えたガンモはバンノーダーでトマトジュースの中身を呼び寄せる。
派手にぶちまけてるけど・・・

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続いてトマトもバンノーダーで取り寄せる。
これでトマトもトマトジュースも完食したように見せかけたのだが・・・

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得意気に空っぽの瓶を見せるユタカに対して森本先生は激怒する。
「先生は何も嫌いなものを無理にでも食べろと言ってやしない!好き嫌いは段々に直していけばいいんだ!お前を立たせたのは、食べたように誤魔化そうとしたからだ、そうだろう?!そんないっぺんに押し込むようなことするな!この馬鹿者があ!!」と、全くの逆効果であった。

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その夜、夕飯をすごい勢いでがっつくユタカ。給食を残したのでお腹が空いていたのだ。

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「ユタカおかしかったんだから」
「お地蔵さんそっくり」
と今日の顛末をお父さんに話し、ご丁寧にお地蔵さんの真似までしてみせる。お父さん大笑い、ユタカは大むくれで、更にがっつく。いや、それにしてもショースケの笑顔は可愛い。

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翌朝、昨夜の暴飲暴食が祟り、腹痛を訴えるユタカ。

ショースケ「昨日、馬鹿みたいに食べるからよ」

お父さんは「休むか?」と訊くが、結局は登校することに。

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そこへトラブルメーカーのベルバラ(曽我町子)がユタカの同級生のお母さんに変装(変身?)してユタカ達のお父さんの前に現れ、カンザブローが給食を残したユタカを教室に立たせ、その上、嫌いなものを無理やり口に押し込んだという話をデッチ上げる。

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「もし体の具合でも悪くなったら、どうするつもりだったのかしら。ユタカ君、お腹を痛くいたしませんでした?」と、けしかけるベルバラ。
それを聞いたお父さんも「そうだったのか!くそう先公め!」と頭に血が上り、まさにベルベラの思うつぼ。
「子供たちが可哀想です。私に任せておいて下さい!これからすぐ学校へ行ってきます!」と言って学校へ突撃をかけるお父さん。

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イタズラ大成功で大喜びのベルベラ。
ただ、これはイタズラというにはちょっと度が過ぎていて洒落にならないレベルである。

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学校で魔法組が集まっているとハテナマン(増田康好)が飛び込んで来る。

ハテナマン「大変だー!ショースケのお父さんが怒鳴り込んで来たんだよ」
ショースケ「えー!父ちゃんが!」
ハテナマン「今、校長室でカンザブローと対決してるよ!」

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対決中(笑)、もとい睨み合ってる二人。

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高牧先生(団しん也)が間に入ってオロオロしながら仲裁しようとするが、二人ともヒートアップして全くおさまる気配すらない。
ちなみにここでの高牧先生のセリフから、カンザブローは高牧先生が学生時代の先輩であったことがわかる。

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ここで再びベルバラ登場。
口論する二人の間に現れ(透明なので二人には見えない)、魔法でちまちまとイタズラを繰り広げ、二人の会話をますますこじらせていく。

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校長室を覗いていた魔法組はベルベラの存在に気付き、まずは一刻も早くベルバラを引き離そうと思案する。

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バンノーダーで「ベルバラよ来い!」とベルバラ自身を取り寄せるという、直球な荒業を披露するハテナマン。

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するとバンノーダーの力で校長室の外に引っ張り出されるベルバラ。運悪く校長室の外にいた高牧先生と激突して二人は倒れて気絶してしまう。倒れた高牧先生のまわりに集まる魔法組。
この騒ぎに乗じてユタカが校長室に入っていく。

ちなみに倒れて気絶しているベルバラを全員が無視して放置しているのが地味に酷い(笑)

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ユタカが入り込んで父を説得し、腹痛の原因がカンザブローではなく自分の食べ過ぎだったことがわかり誤解が解ける。

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さらに森本先生を慕っていることもユタカの口から語られ、感激して男泣きするカンザブロー。丸く収まりめでたしめでたし。

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和解の象徴として描かれる「相手のタバコに火をつける」というのは、ちょっと時代を感じるところである。

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場面変わって、初登場の校長先生(大泉滉)が、高牧先生に唐突に沖島の分校への転任を命じる。

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実質的な左遷人事にあからさまに落ち込む高牧先生。

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転勤が決まった高牧先生は独りでおでんの屋台で泣きながら呑んだくれる。
子供向け番組でこんなシーン流すなよ(笑)

高牧先生が「ガンモ、チクワ・・・」と生徒の名前を口にすると、おでん屋のおやじが「へい!」「へい!」とガンモとチクワをお皿に盛るのが笑える。

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その晩、意気投合したカンザブローとショースケのお父さんは小原家で呑むことに。本当は高牧先生も来るはずだったらしいが高牧先生は独りおでん屋で呑んだくれていたのである・・・

小原家に集合する魔法組。現代の感覚ではガンモがバカでかい懐中電灯を持っていることに違和感を感じるかも知れないが、実際この当時、東京の住宅街の夜は本当に暗かったのだ。
この頃は畑も多かったし、コンビニもなかったし、個人商店は夕方には閉店してたからね。

ショースケ曰く、カンザブローとお父さんは「気が合っちゃって大変」なんだそうだ。まさに雨降って地固まるである。

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酔いつぶれたお父さんと、得意の芸を披露するカンザブロー。

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それを見て喜ぶ魔法組のみんな。

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魔法組5人を連れて帰途につくカンザブローだが、途中で酔いつぶれて倒れてしまう。ミコ(尾崎ますみ)は、そんなカンザブローを見て「赤ちゃんみたい」と笑うが、こんなところを人に見られたら学校にいられなくなるんじゃないかと心配する魔法組の面々。そしてマジッカーで先生のアパートに送り届けることに決まる。

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途中で目が醒めて、空を飛んでることに気が付き大騒ぎするが、また寝ぼけて倒れ込んでしまう。

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翌朝、学校の屋上でカンザブロー先生に、昨日どうやって帰ったかを尋ねるユタカ。
「空を飛んで帰った」と答え、後ろで隠れていた魔法組たちも驚くが「素敵な夢だったぞ」と夢として処理されたことがわかりホッとするみんな。最後はみんなで朝の体操をしたところでさわやかに幕。

これからレギュラーとして登場するカンザブローの紹介編としてはよく出来たエピソードであったが、取って付けたように捩じ込められた高牧先生転勤のエピソードには違和感を感じてしまう。おそらくは当時、大人の事情があったのだろう。

ただ、高牧先生がカンザブローに交代したことで、作風も明るくなりテンポも良くなったと言えるので、作品としての判断は正しかったと言えるだろう。

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おまけ。
次回予告の一コマ。
ショースケのキュートなお尻^^;

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