第11話「姉さん お嫁にいかないで!」(1977年2月21日)
今回はチクワ主演回である。以前にも触れたようにチクワ主演回というのは、どういうわけか駄作・凡作が多いのだが、本話については名編「大好き!泣き虫先生」を手がけた田村多津夫氏が脚本だけあって、チクワ主演回の中では非常によく出来たストーリーである。
また、本作品では初登板となる長石多可男氏が監督を務め、非常に印象的なカットをいくつも残し、作品の完成度を高めていると言えるだろう。
ここで貴重なショースケ(神アコ)のブルマ姿が拝める。その手の趣味の人にはたまらない映像であろう。
「優しいお姉さん」。
そんな中、優しい姉の存在がチクワには大きな救いなのであった。
大好きな姉さんが結婚してしまうというショックで妄想モード全開に!
「姉さんがいなくなるなんてイヤだ!」
明らかに元気がないチクワを見てガンモ(すのうち滋之)が声をかける。
ガンモ「チクワ!どうしたんだ。元気ねえな」
チクワ「ねえ、お願いだからさ、何にも聞かないで魔女バッグ貸してよ」
ハテナマン「そりゃあ無理だよ」
チクワ「ね、お願いだからさ!」
ガンモ「一体、何があったんだよ!」
縄跳びでピョンピョンと上下に跳ねながら喋られると、ショースケの胸の揺れが気になって仕方ないんだが・・・(笑)
ミコ「どうして言えないの?理由さえ話してくれれば私達だって」
ハテナマン「そうだよ!話してくれよ!」
ガンモ「チクワ!それでも友達かよ!何でも話してくれればいいじゃないか」
ハテナマン「そうだよ!話してくれよ!」
ガンモ「チクワ!それでも友達かよ!何でも話してくれればいいじゃないか」
黙り込むチクワ。
そこまで言われてようやく思い口を開くチクワ。
ミコ「いなくなっちゃうって?」
チクワ「結婚するんだよ」
ガンモ「姉さん、結婚するのか!なんだよ、素敵な話じゃねえか」
ハテナマン「ところが、素敵なことじゃないみたいだな」
ショースケ「そのようね」
ミコ「チクワ、姉さんの結婚に、反対なのね?」
チクワ「うん・・・」
チクワ「結婚するんだよ」
ガンモ「姉さん、結婚するのか!なんだよ、素敵な話じゃねえか」
ハテナマン「ところが、素敵なことじゃないみたいだな」
ショースケ「そのようね」
ミコ「チクワ、姉さんの結婚に、反対なのね?」
チクワ「うん・・・」
その後ろを走行する都電が非常に印象的なカットである。
この時、「ちょっと見せてー!」とすごい勢いで駆けてきてミーハーな感じに写真を覗き込むミコが、お年頃な感じがしてすごく可愛いのである。
そう、特撮ファンであればすぐにピンとくるであろう谷岡弘規である(この当時は旧芸名の谷岡行二)。この数年後に「バトルフィーバーJ」で主役のバトルジャパンを演じることになる。
ミコ「へー、感じの良い人じゃない」
ショースケ「そうね」
ガンモ「どれどれ、へー、結構ハンサムじゃねえか」
チクワ「顔だけじゃわからないよ」
そしてハテナマン(増田康好)が見つけた身上書から名前が久保田ススム、そして住所も判明し、みんなで彼のマンションに行ってみることに。幸か不幸か久保田は留守だったが、そこが立派なマンションだったことから月給も高いんじゃないかと推測する。
あの二人、どういう関係なんだろうと遠巻きに眺める魔法組であった。
カンザブロー「久保田は良い奴だよ。学生時代からよく知っているが、あんな良い奴はいない。先輩のわしが保証する」
そう言われて考え込むチクワ。
カンザブロー「奴なら、姉さんを幸せにする!安心しろ!」
思い詰めたチクワは「先生、結婚って、どういうことですか?」と疑問をぶつける。
カンザブロー「それは、難しい問題じゃなあ。わかりやすく言うとだな、人間は誰でもそうなんじゃが、幸せを求めて生きているものなんじゃ。気の合った者同士が一緒に暮らし、立派な家庭を築き、幸せを求めて分かち合い、人間らしゅう生きていく。それの第一歩が結婚なんじゃ。わかるか?」
「はあ」と曖昧に頷くチクワ。
カンザブロー「心配ない!奴ならお前の姉さんを幸せに出来る!」
こんなふうに先生が生徒たちを大人の立場として諭すという、いかにも学園ドラマ的な構図は高牧先生の頃には見られなかった。先生がカンザブローに交代したことで、このような変化が生まれるようになったわけである。この作風の変化には賛否両論あるかも知れないが、ドラマに厚みが感じられるようになり、こうしたやり取りを通して各キャラクターの掘り下げが進んだことも考えると、管理人の見解としては大成功だったと思っている。
カンザブローは「眼の前に幸せがぶら下がっているというのに」と久保田の迷いを遠回しになじる。
カンザブローから何度も「幸せ」という言葉を繰り返され、改めて姉さんにとっての幸せについて考えるチクワであった。
場面変わって・・・ガソリンスタンドに停車していた久保田の車の前に仁王立ちし、正面から久保田を見つめるチクワ。
ここで、「はしだのりひことクライマックス」の大ヒット曲「花嫁」のインストゥルメンタルが流れる。当時の視聴者からすると数年前のヒット曲なのですぐにピンとくることだろう。今の若い人は知らんだろうが。
真剣な顔のチクワ。
真剣な顔のチクワ。
そして立ち止まり、笑顔で空を見上げる。ここで「花嫁」のインストゥルメンタルがサビに入るのだが、ドラムの音がチクワの心情を体現しているようで実に効果的である。
チクワ「あの人なら大丈夫!姉さんに幸せになってもらわなきゃ!」
ここで初めてチクワは自分だけの気持ちではなく、姉さんの幸せを願うという気持ちに心情が変化するのである。
チクワ「姉さんと結婚しないなんてとんでもない。姉さんには幸せになってもらわなきゃ。どうしても結婚してもらうよ」
一転して「結婚させる」ことになったチクワ。そんなチクワに魔法組のみんなも同意する。
現在は経営悪化のため閉園して跡地になってしまっているので、この回はある意味で貴重な映像資料と言えるだろう。
ミコ「ロマンチックじゃないわねえ」
ショースケ「デートって感じじゃないわ」
ハテナマン「そうみたいだね」
ガンモ「ちぇえ、せっかく期待してたのになぁ」
小学5年生にデートを論評されるというのも何だか面白い。
チクワ「魔法で、姉さんを幸せにするんだ!」
ハテナマン「よし!その意気だ!」
ハテナマン「よし!その意気だ!」
魔法組の会話を聞いていたMJくんは感心する。
MJ「いやあ、良い話だねえ。お姉さんを結婚させようと、一生懸命になるなんてねえ」
チクワ「アバクラタラリン、クラクラマカシン、久保田さんが姉さんと結婚したくなるような、素晴らしい夢の世界に二人を連れて行っておくれ!」
ここで直接的に「二人を結婚させておくれ」と言わないところがこの物語のポイントなのである。
この辺りの演技、バトルジャパンと花忍(忍者キャプター)そのものである^^;
久保田「僕は、エンジニアとしてはまだ一人前じゃない」
理恵「私、今、料理学校に通っていますけれど、これはただ、奥さんになるためだけじゃないんです」
久保田「僕ももっと勉強したい。外国へも行きたい。まだ、結婚はできません」
理恵「実は私も、料理の勉強をずっと続けていくつもりです。もちろん父や母を喜ばせるためなら結婚しても、そう思う気持ちもありましたけれど。でも私、結婚はまだ早すぎるんです」
久保田「実は、僕も同じようなことを考えてました」
理恵「じゃ、ここで」
久保田「いや、お送りしますよ」
理恵「いいえ、本当にここで失礼します」
久保田「そうですか」
理恵「ええ、またいつかお会いできるまで、さよなら!」
久保田「さよなら!」
理恵「じゃ、ここで」
久保田「いや、お送りしますよ」
理恵「いいえ、本当にここで失礼します」
久保田「そうですか」
理恵「ええ、またいつかお会いできるまで、さよなら!」
久保田「さよなら!」
ショースケ「二人とも結婚するつもりはないみたいね」
ミコ「けど、マンガンキーは願いを叶えてくれないのかしら」
ハテナマン「はてな?これがしっぺ返しかなあ」
ガンモ「どうすんだよチクワ!」
チクワ「どうするって、姉さんからさよならって言ったんだからさ」
そう言って俯くチクワ。
「よかった!姉さんお嫁にいかなくて!」と満面の笑みのチクワ。
これでは何も成長していないのでは?と思いきや・・・
そうチクワに決意させることで、今後の成長を期待させつつ、きれいに幕を閉じる。